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元々は小説として書いていたモノ やたら喋る品のないトカゲと常に酸素が足りてない青白い顔した少年の対話
haru07 投稿 - 2012/02/28 更新 - 2014/02/21 5 Comments 529 Views
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三両編成 夜汽車に揺られて
辿り着いた 森の奥地で
牙のない蜥蜴に 嘘を付かれた夜のこと
まだ 憶えている

何年経っても 此処は変わらない
彼は言う 「君も同じさ」
朝が五月蝿くて 閉じた目蓋
人目を憚り 涙が落ちた


千切れた尻尾は 誇らしげ
饒舌な蜥蜴は 喋り続ける
小さな火にくべる 小枝を銜えた姿に
寄り添う 蜻蛉

僕はと言えば 帰りの汽車の時刻が気掛かり
少し焦ってる
彼は そんなこと お構いなしに
得意気に 喋り続けていた


間違うことを 繰り返して その都度 正しい方を向いたのに
行き詰って また迷い込んで 此処に戻って来ている 僕がいる
何処にいたって 同じことだろう?
「帰りたい」と 告げたら
蜥蜴は ちょっと哀しい顔をした

逃げる傍から 絡み付いたのは いつも 僕によく似た顔だった
踏み出せば まだ走れる身体が 磨り減らした熱を 呑み込んでいく
揺れる灯火 開いた目蓋に かろうじて 映せている景色
まだ、そのことに 気付いたばかりさ
産まれたての感情に 名前を付けてやらなきゃな


24時発の 夜汽車に乗り込み
再び 僕は森を離れる
何故か付いてくる 尾なし蜥蜴
どうやら 彼も 淋しいらしい

「旅には話し相手が要るんだ」なんて
尤もらしく 嘯いて
淋しいんなら まず素直になれよ…


旅立って すぐ行き詰って 三叉路、五叉路 迷いに迷って
一体此処は 何処なんだって 計画性の無さを 今更恥じる
何処に向かって 進むべきだろう?
「爪先の向く方さ」
知った風な口で 蜥蜴は言うんだ


生きる傍から 絡み付いた蔦 足を取られて 転んだ拍子に
擦り剥いた膝 痛みと同時に流れる 血の濃さが 愛おしい
萌える草木を 結わう凪いだ風 移り変わる 小さな車窓から
臨む世界は 総てじゃなくとも
僕はきっと 拾い上げなければ いけない


東の空が白んで 夜明けが 近付けば
忘れ去れもするだろう 忘れたいんだ いつでも
なのに、何だって憶えてんだぜ?
遠くで響く汽笛 頬を伝う涙
向かいの席の蜥蜴が …笑ってる


生きる僕に 差し伸べられた 手の温もりなら 思い出せるようだ
「今更か」って笑う その顔に 救われている自分に 気付く
過去の命日 森を出た先に 広がった新しい世界に
馴染むかどうか 不安な身体を
引き摺ってでも また 夢見るだろう


「朝に透けて消えよう」
…蜥蜴は言った
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5 Comments

yaki_9yaki_9
2012/02/28
こんにちは、ヤキです。

蜥蜴も青年も実は元々同じ存在で、
確認し合うかのような、悟らせるような、
会話しているのは、実は己なのか、
と、色々と考えさせられる作品でした^^
退会済み
2012/02/28
Delete
小説ですか、すごい!!!


Cメロが気に入りました。
物語性があって、この詞から小説のストーリーが分かるような気がしますね。
haru07haru07
2012/02/29
ヤキさん、こんばんわ
コメあざます♪

色々と考えて頂けたようで何よりです
蜥蜴=主人公…そうです
これは自問自答の物語を書きたくて書いてたんです
「蜥蜴」「よく似た顔」「絡みつく蔦」
これらは全部自分自身を現しています

自意識の中にこそ、現状を打破出来るキーがあるんじゃないかと
なんだって自分次第ですものね
そんな事を考えながら書いていましたw
退会済み
2012/02/29
Delete
やー兄さん、さっきぶり~
あいかわらず今日も寝付けなさそう~

大人向け絵本みたいな綺麗な感じイイネ
なんか、或る旅人の日記みたいな印象

世界が頭の中で再現できる感じ
起承転結じゃない淡々としたストーリーとか、説明臭さがまったくないのが
想像をかきたてるよね
haru07haru07
2012/02/29
モルシアさん、はじめまして♪
コメありがとうございます

気に入って頂ける箇所があって何よりですw
何せモトが小説なモンで
ダラダラ長くなってしまったから…
誰か読んでくれるのか?こんな独りよがりな作品とww

読んで頂けて嬉しいです
ありがとうデシタ(#^.^#)
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