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ドラマティックな情景が浮かぶような詩を心がけました。
退会済み 投稿 - 2011/09/21 更新 - 2011/10/27 0 Comments 373 Views
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1時間にひとつだけの この街を滑る電車
錆びれた遮断機が 錆びれた夜に溶け込んだ
精確な直線 黄色の帯を纏う 

いったいいつになれば 静寂の布を裁ち切るのだろう
いつでも渡れるはずの 線路を跨ぐようにして
面影は残り この指先にふれる

こんなにも短い あまりにも短い距離
今すぐにでも渡りきってしまえるのに
それが今までの僕らにとっての答えだと
決めてしまうには まだ早すぎる気がして

人の行き来もないこの踏切の向こう側
お互いの瞳だけで 今は結び合っている
やがて鳴り響く警音機
この電車が通り過ぎた瞬間を
忘れはしないだろう

誰にも見つからぬよう 一枚の景色が運ばれて
まるで幼き鳥たちが 地平線を越すように 
私の思い出も 流れてゆきました
 
こんなにも儚い あまりにも儚い時間
あなたには私のすべてが映るみたいでも
私にはあなたの背中だけしか見えない
傾いた机に転がる水硝子

夜の明ける理由を教えてくれませんか
月が昇る理由を教えてくれませんか
胸を打つ警音機
この電車が通り過ぎた瞬間を
忘れはしないだろう

あの踏切はまだあの場所に残っていますか
あの日のような 肌寒い季節に
新月のような満月が この足下を照らす夜
もうすぐ笑う筈の月は そのまま空に張り付いた

やがて鳴り終わる警音機
私の心も 沈んで消えました
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