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やはりイエスキリストにより、救われた元悪党は数多くいます。
kayuma 投稿 - 2020/08/13 更新 - 2021/05/19 0 Comments 225 Views
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 明男は、ふいに僕の目を見つめて言った。
「俺、いずれ、組織に殺される運命なんだ。
 しかし、その前に中学時代の君と
人生を狂わせてしまった由岐にお詫びを
しなければ、死んでも死にきれないよ。
 組織は俺を追っている最中なんだ」

 僕は、答えようがなかった。
 まあ、アウトローというものは伝説の親分
井岡組長のように、いずれは殺される運命である。
 ふと、クリスチャンの母親の言葉を思い出した。
「同じ死ぬなら、イエスキリストのために死になさい。
 そうしたら、殉死となって天国にいくから」
 なんでも、イエスキリストは人間の罪の身代わりとなって
十字架にかかって下さったという。
 ということは、十字架は処刑道具だったということか。
 
 僕は思わず、目を閉じて明男のために祈っていた。
「イエス様。中学時代の友人、明男は今、殺されかかっています
 どうか、お救い下さい。イエスキリストの名において祈ります
 アーメン」
 気が付くと、明男は涙を浮かべていた。
 ちょうどそのとき、店の常連おばさんが明男を見て言った。
「あなた、明男君だったっけ。ほら、中学時代、参考書を貸した」
 明男は、なつかしそうに目を細めた。
 その仕草は、行方不明になった明男の母親にそっくりだった。
「ねえ、今から私の家に来ない? といっても、小さな教会だけどね」
 明男はキョトンとした顔をしたが、すぐに真顔に戻った。
「僕、もうすぐ死ぬ運命なんです。でもその前に、人間として
できることを残しておきたい」
 明男は、おばさんの家の小さな教会に行くため、伝票を
置いて席を立った。

 

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