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ひとつの仮定
aozora0900 投稿 - 2020/06/02 更新 - 2020/06/02 0 Comments 198 Views
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私たちが諸々の理由をもって
生を終えた先の
天国という場所に
ふくろうがいる

柔い羽毛と賢明を司り
彼らは説く
死は救いにあらず
生は最悪にあらず と

円なる瞳は
青の宝石
最期をむかえた訪問者を見つめ
天国を語る

終わらない労働のくに
生を支える永遠の歯車
それこそが死者である
ふくろうは
首をかしげながら
そう言ってまばたきした


私たちの思う天国とは
おそらく永遠の休息
おもむろにふくろうは
それを否定した

若くし このくにへ来て
その果てしない
未来を言い渡された
少年は項垂れる

鈍く煌めく嘴は
絶望の原石
はたらきものたちをなだめて
天国をあるく

とめどない労働のくに
死者は生者のせかいと
理のからくりである
ふくろうは
首を回しながら
そう言ってまばたきした


生きるのに疲れたもの
全うしたもの
それら全て
ふくろうのくにの
小さな歯車

生者の勝手な妄想で
天国と称されたそのくには
ひどく むなしい
有り様をかたどる

そして私たちは
そのくにを望んだり
憧れたり
想像して過ごしている


終わらない労働のくに
生を支える永遠の歯車
それこそが死者である
ふくろうは
首をかしげながら
そう言ってまばたきした
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