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マンボウとカニと
aozora0900 投稿 - 2020/05/27 更新 - 2020/05/27 0 Comments 152 Views
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あたしのマンボウは
涙の海の浜に着いて
塩辛さでやられていた

とげとげ日射しに目を細めて
お昼ご飯をぜんぶもどした

キレイ好きなカニ
砂浜のげろを見て
頭を抱えて泡をふく

通りかかったニンゲンは
マンボウもカニも嫌いになった

マンボウは自分も嫌いになった

夜がきて1日が終わる
こんな今日のことを
思い出す日が来るということ
それだけで悲しい


負の遺産を積み上げて
心持つものは長生きをする
この場合マンボウやカニはどうか知らないけど
少なくとも――――

せいいっぱい考えているんだ
少しでも幸福になりたいから
それでも誰にも分かりっこない後悔を秘める
鬱くしき
からくりを備えた生き物たち


あたしのマンボウは
昨日突然の発作で
亡くなりました

なんとか海に帰って
お家に戻るところでした

キレイ好きなカニ
波が洗った砂浜を歩いて
掃除当番をお休みした

通りかかったかもめに
カニはくわえられてゆきました

ニンゲンは昨日を思い出して顔をしかめた


マンボウを悲しむのはあたしのはず
だってあたしのマンボウだから
カニを悲しむのは砂浜だ
だって砂浜を掃除していたから
…………そう思う


かなしみがこみ上げて
心持つものはまばたきをする
この場合マンボウやカニはどうか知らないけど
少なくとも――――

せいいっぱい考えてしまうんだ
だれかの分までおせっかいに
今夜も余分に涙を流すのは
鬱くしき
からくりを備えた生き物たち
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