君の声が 耳で濁った
聞き返せば二度と 帰らないと分かった
葉擦れが僅か 乾きだした
億劫な午後の窓辺
思い出話に飽きた舌に
夏の終わりは苦く
今年も花火 見れなかったな
足取り軽い 浴衣の残像
きっと僕らは なんて定義付けて
ちぐはぐさを型に嵌めた部屋
抜け出した君の裾が
見えなくなったら 何処のドアへ
霞んだ目に何を映そう
距離とか温度 計測不能
潤んだ胸はもう虫の息だから
溜め息一つで 事切れそうだ
例えば 僕の名前を君が覚えていた頃の
話をして 笑った そうだねって笑った
それを喜んじゃいけなかったのかな
季節をやり過ごして
芽吹く蕾に君は居ない そんな空
おかえりを喉元に置いて
浴衣に秋を纏わす 君を待つ
2 Comments
2019/09/14
ぎりぎりに保っている様子が痛い。
秋へと向かう季節の情緒が儚げな恋歌。
素敵な詞です。
2019/09/15
コメントありがとうございます(*´ω`*)
色んな詩をしっかり読んでコメントしてらっしゃって、凄いなあ。
近頃は季節が移り始めて、
秋の侘しさをじわじわと感じます。
それがどうにも落ち着かず、
夏に縋るみたいにこの詞を描きました。
めっちゃ花火見たかった……