1A
君には僕になってほしくなかった
誰もいない 部屋の隅で
間抜けな顔だろうな
こんな腫れた目で
青空なんて 仰げないよな
1B
ひりつく肌に 張り付く汗が
早く走れと急かすまま
一番を探していた
1サ
ああ 夏がきた 夏がきてしまった
どうやら時間は戻らぬようだ
このテンポの人生だ その程度の人生だ
じりりと喚いた蝉が 僕に焼き付いた
部屋の進まぬカレンダーを めくった
2A
君には僕になってほしくなかった
声の出ない 心の底で
腑抜けた僕だからな
どんな問いならば
煩い熱を 冷ませるのかな
2サ
ああ 夏がきた 夏がきてしまった
どうやら時間は戻らぬようだ
このテンポの人生だ その程度の人生だ
じりりと喚いた蝉が 僕に焼き付いた
部屋の進まぬカレンダーを めくった
C
僕のそんなある日の夏
暑い暑い ある日の夏
君には僕になってほしくなかった
誰もいない 部屋の隅で
間抜けな顔だろうな
こんな腫れた目で
青空なんて 仰げないよな
1B
ひりつく肌に 張り付く汗が
早く走れと急かすまま
一番を探していた
1サ
ああ 夏がきた 夏がきてしまった
どうやら時間は戻らぬようだ
このテンポの人生だ その程度の人生だ
じりりと喚いた蝉が 僕に焼き付いた
部屋の進まぬカレンダーを めくった
2A
君には僕になってほしくなかった
声の出ない 心の底で
腑抜けた僕だからな
どんな問いならば
煩い熱を 冷ませるのかな
2サ
ああ 夏がきた 夏がきてしまった
どうやら時間は戻らぬようだ
このテンポの人生だ その程度の人生だ
じりりと喚いた蝉が 僕に焼き付いた
部屋の進まぬカレンダーを めくった
C
僕のそんなある日の夏
暑い暑い ある日の夏
3 Comments
2019/07/20
暑さにも現状にも苛立つ「僕」のうだる様子がとても伝わってきます。
きなこさんは助詞ひとつで機微を自在に操る魔法使いですが、今回は助動詞の「た」が効いていますね。
“夏がきた ” に “〜てしまった” と後悔を重ねる事で焦燥感も諦念も
両立させる魔法。
「僕」の置かれた現状を
“部屋の進まぬカレンダー”で理解させる手口もニクい。
2019/07/21
この一行目でそのまま世界観へ引き込まれますね。
玉山さんも仰っていますが、部屋の進まぬカレンダーが何を意味しているのか、想像が膨らみますね。
2019/08/20
今回も丁寧な感想コメントありがとうございます!
怠惰な自分を憂いながらも、夏がさらに怠けさせてしまう状況を、上手く書き表せていればいいなぁと思います。
魔法だなんて言葉が使われていますが、確かに助動詞は世界観を構築する魔法と言えますね!素敵!
さくさん
この1行目、とにかくキャッチーにしたいと思って考えた文字列ですので、気に留めていただけて嬉しかったです!
毎度の如く思いますが、自分の書いたものを深く考察していただけるほど幸せなことはないですね。
いつもありがとうございます!