束の間の夏の訪れを悟っては
鬱蒼と陰を落とす心を閉じた
逆行がどんなに残酷か解っていても
今だけは感傷に触れて
麦わら帽子 風鈴の音 陽に向かい咲く向日葵
呆気なく通り過ぎた夕立に たくさんの物語を奪われて
仕方ないねと置き去る人達を 見送ってそっと掬う
遣る瀬なさよ
大人へ近づく高鳴りも 今となればただ虚しく
蓋を開けてしまった
魔法はいとも容易く解けて
蝉時雨 誰かの手 ひこうき雲 文字に起こしても帰れぬ情景
こんなに今が空っぽなのは 日に日に美化される青さがあるから
無知と引き換えに手にした自由が 苦しみとも標せる
遣る瀬なさよ
たとえ巻き戻せたとしても別世界で 今年も写真を見返し泣くのでしょう
それでも絶えず思いを馳せる夏に 続きを書き連ねてしまう
遣る瀬なさよ
4 Comments
2019/07/19
ファビュラス♡でございます☆
2019/07/19
風物詩として語感を意識して綴ったものなので、とても嬉しい限りです。また、再び自分の作品に目を通して頂けたこと、評価して頂いたこと、感無量です。
感想ともに評価、ありがとうございました。
2019/07/20
蝉時雨 誰かの手 ひこうき雲
文字を目にするだけで、それぞれの夏の匂いを思い浮かべるような言葉達。
「風物詩として語感を意識して綴った」とのコメに納得です。
懐かしさと切なさは何故かいつもセットでやってくるノスタルジー。
とても好きな作品です。
2019/07/21
この時期になるとどうしても幼少期の頃の懐かしさというものを思い出してしまい、その切なさを夏に関連づける事を重点に置きました。核となる表現を取り上げて頂いて嬉しい限りです。
また、自分は夏の情景を表現した作品が好きなので、こうして同じように「好き」という言葉を頂けただけで頭が下がる思いです。
貴重な感想、励みになりました。評価ともにありがとうございました。