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俺はこの路上詩人のこと全く尊敬してないし、ダサいと思ってる、枕営業してるアイドルの方が尊敬してる
monica_Japonica 投稿 - 2018/05/24 更新 - 2018/05/24 0 Comments 129 Views
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高円寺駅の駅前でいつも詩を売っている人が居た
朝も夜も晴れも雨でもいつでも彼はそこに居た
道行く人はほとんど彼には目もくれはしないが
時たま立ち止まり何か話している人も見かけた

実は俺も一度だけ声をかけて見たことがある
強い雨の日だった 彼は驚いていて そしてとても
嬉しそうな顔で「見るだけでもいい」と沢山の詩を広げた
雨で滲んでいく魂の筆跡 ばつが悪そうな「一枚ずつにしようか」

詩の内容はというと思ったよりは良かった
初めて見る表現も所々見られた
帰りの電車でも2、3節は思い出せたし
今でも一つだけ覚えてる 買わなかったけれど

ありがちな歌ならばこの路上詩人は最後には
沢山の人に認められたりそうでなくても何かしらの
花開く時がくるような そんなものが多いと思う
その歌を書いた誰かさんも昔そんな詩人だったから
残酷な結末なんて描けやしないんだろう それはそうだろう
夢叶えてたり途中だったり 色々と事情は違うけど
ある日の朝 幾日も続いた雨も止み 輝くアスファルトの上に
彼は倒れていた 死んでいた


警察が来るまでの短い時間俺はただそれを見ていた
もう一人だけたった一人だけ目をそらさず見ている女が居た

「よくここ通るんです 彼の詩も何度か見せてもらいました
一つだけ今でも好きな詩があって」と彼女は言う
俺の覚えているそれとは違って 俺の心には響かなかった
まあそんなもんだろうと俺は思う 彼女も多分思ってた

彼女は泣いてはいなかったし俺も少しも泣かなかった
ただ、なんとなく覚えていようと そこに立っていただけ
ただ、なんとなく覚えていようと そこに立っていただけ
ただ、なんとなく覚えていようと そこに立っていただけ

ほんの少しだけど こんな事になる予感だけはしていたんだ
才能全くないわけじゃないけど そんなにはなかったし
頑張っていたのは認めるけれど なんだかちょっとズレてるし
雨の日ぐらいは家に居なよ 路上以外の方法知らないのかよ

彼女はやがて去って行ったし俺もそろそろ仕事の時間で
ただ、なんとなく覚えていようと 今日は思っているだけ
ただ、なんとなく覚えていようと 今日は思っているだけ
ただ、なんとなく覚えていようと 今日は思っているだけ
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