ある日水たまりへ落ちた
音もなく世界が反転
置いてけぼりの傘は
私の帰りを待っている
蒼い夜 彗星のように
白く光る月だけが動かない
綺麗だと 君を見たとき
呼吸も忘れて思ったの
月に焦がれた少年は
瓶底で恋を飼っていた
誰もいない薄暗の部屋
此方を見て微笑んだ 夢のように
月の幻かと君は尋ねた
音もなく私に届く
いつのまにか知っていた
満ちては欠けるその名前だけ
誰も写らない写真立て
色のない玩具箱 針のない時計
きっと私が月を採むと
儚い笑顔に言ってしまったの
月に焦がれた少年に
涙の視界から手放した
玩具箱の硝子玉 少年の瞳に
君色の月だと嘘をついた
採むことなど出来はしないもの
手に入れるだけが恋ではないこと
少年は世界を許して呟く
ありがとうの欠片 涙のように
気がつけば空は晴れていた
夢でも見たような心地で
首を傾げ拾い上げた傘は
記憶の名前を教えない
ただなんとなく今夜は
綺麗な月が見えるだろうと
そんな気がしただけ
4 Comments
2018/01/28
2018/01/29
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2018/01/29
2018/01/31
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