真砂の命の、ただ一粒、救われなかった、報われなかった、ただ一粒の、はなしぃ
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Loading.─本編を控え、本編を表す序─
生きるは流転 死は流転
生きるはいずれ 死に至り
朽ちた命は なりを変え
新たに生まれ 死に至る
万象は なりは違えど
どれもみな どれも等しく
真砂の命 なのだろう
【小蠅の悩みは】
肌色の大地に鎮座 ぽつねんと
小蠅は賢しく
尻尾を廻し 路傍の犬が 盛る！
行きずりと
狭筵の命は苦悩 悶々と
生きるは険しく
それでも犬は 下念に燃えて 孕む！
衆生はふくら…
【誰の悩み？】
現実遍く天河は浩然
天佑求めて小粒は信心
奴は甲斐なく唾液を垂らすも
一心に！ひたすらに！
小蠅は念誦を続けるのだ
が
心印の光は見えず
無明の ま ま だ！
【皆の悩みのはずなのだが】
手を擦り
崇まうは化仏 人により
捩れ 「我こそ」「我こそ！」
明るみ透くはその影！
苦心なく 高望む
首垂らすのは 毫端の戯れ
ああ 集く命の着くは何処
─本編を挟み、本編を補う中─
小蠅は一心に善い奴であった
小蠅はひたすらに道心であった
誰しもが化仏の影に潜む欲を見つめる中
彼だけは化仏の奥に御座す神仏を見つめていた
だがしかし いや そのために
万象における生き死にの在り方に
是非を問うていた
万象における帰依の在り方に
疑念を抱いていた
しかし 小蝿は一心に！ひたすらに！
全ての象りを救う その手立てを模索していた！
道心深きゆえの 驕りなのかもしれない
それでも だ！
【目を閉じ、思案する】
眦の奥 彼方に伸びる
億千の御手 こころを摩る
が
夢想に 過ぎず
目が覚めると其処は
肌色の大地の上だ
【小蠅の望みは】
点滅の日月は委曲 過たず
光は侘びしく
しんがり探し 路傍の犬が 吠える！
真砂はきらら…
【誰の望み？】
天海響もす唸りは暗澹
天佑求めて小粒は信心
奴は思惟なく唾液に掛かるも
一心に！ひたすらに！
小蠅は念誦を続けたのだ
が
一向に光は弱く
無情の 果 て だ！
【皆の望みは同じようだ…！】
誰彼
信ずべきものの 腸の裏
見つめ「我こそ」「我こそ！」
己の幸に傅く！
止め処なく 沸き出でる
欲に託ち寄り 稠林を舐ぶ
そう 集く命は欲を廻る！
―本編を終え、本編を超えた跋―
いくつも在る化仏を見つめていると、
いきなり雷ほどの閃きが彼の頭を劈いた！
化仏の奥に御座す、本当の神仏による閃光だった！
その明滅は、誰もが望み焦がれた神仏の御手であった！
彼が道心である証にして、なにより幸福な瞬間である！
小蠅の信仰者は驚きの表情で
生き死にの新たな理を得たようである！
月光、陽光の鋭利な切っ先さえも届かぬ
阿僧祇の彼方に見えし天上の本懐だ！
生きるは流転 死は流転
生きるはいずれ 死に至り
朽ちた命は なりを変え
新たに生まれ 死に至る
全てが滞ることなき久遠の廻りの内で
しかし其の流れから逸脱せんとする術である！
大層な歓びよう！
大層な高まりよう！
命は、その全てが救われる！
その全てが報われる！
その世迷い言めいた算段が漸く実を結んだのだ！
小蝿の信仰者は是を以て、
変易生死を垣間見た神聖なる僧正へと成ったのだ！
これが
泣かずにいられようか！
笑わずにいられようか！
羽ばたかずに、いられるものか！
肌色の大地にて、僧正は背の翅を震わせ
その御心に在る極上の震えを示している！
僧正は其の恐るべき教典とその実践法を、
遍くこの世の動物たちへと伝えて回るために、
手始めに肌色の大地の主へと、
その有り難きお言葉をお聞かせくださるおつもりだ！
「えー、おほん！
それはまさしく、まさしくもって、
仏さまから賜った世紀の大…」
―その瞬間、肌色の大地は怒り狂い―
ぱちん！
察するに、目障りだったのであろう
─物語は回帰するもので─
道心は我欲からでなく、純然であるべきだ
仏果を見紛い、解脱を見紛い、
信じるものの信ずべきもの
その在り方を見紛ったものの末路
神より小さい、天より小さい、
海より小さい、輿地より小さい、
木々より小さい、鬼より小さい、
馬より小さい、人より小さい、
犬より小さい、魚より小さい、
小蝿という虫の、思い過ごした虫けらの、末路
真砂の命の、ただ一粒、
救われなかった、
報われなかった、
ただ一粒の、話 おしまぃ。
生きるは流転 死は流転
生きるはいずれ 死に至り
朽ちた命は なりを変え
新たに生まれ 死に至る
万象は なりは違えど
どれもみな どれも等しく
真砂の命 なのだろう
【小蠅の悩みは】
肌色の大地に鎮座 ぽつねんと
小蠅は賢しく
尻尾を廻し 路傍の犬が 盛る！
行きずりと
狭筵の命は苦悩 悶々と
生きるは険しく
それでも犬は 下念に燃えて 孕む！
衆生はふくら…
【誰の悩み？】
現実遍く天河は浩然
天佑求めて小粒は信心
奴は甲斐なく唾液を垂らすも
一心に！ひたすらに！
小蠅は念誦を続けるのだ
が
心印の光は見えず
無明の ま ま だ！
【皆の悩みのはずなのだが】
手を擦り
崇まうは化仏 人により
捩れ 「我こそ」「我こそ！」
明るみ透くはその影！
苦心なく 高望む
首垂らすのは 毫端の戯れ
ああ 集く命の着くは何処
─本編を挟み、本編を補う中─
小蠅は一心に善い奴であった
小蠅はひたすらに道心であった
誰しもが化仏の影に潜む欲を見つめる中
彼だけは化仏の奥に御座す神仏を見つめていた
だがしかし いや そのために
万象における生き死にの在り方に
是非を問うていた
万象における帰依の在り方に
疑念を抱いていた
しかし 小蝿は一心に！ひたすらに！
全ての象りを救う その手立てを模索していた！
道心深きゆえの 驕りなのかもしれない
それでも だ！
【目を閉じ、思案する】
眦の奥 彼方に伸びる
億千の御手 こころを摩る
が
夢想に 過ぎず
目が覚めると其処は
肌色の大地の上だ
【小蠅の望みは】
点滅の日月は委曲 過たず
光は侘びしく
しんがり探し 路傍の犬が 吠える！
真砂はきらら…
【誰の望み？】
天海響もす唸りは暗澹
天佑求めて小粒は信心
奴は思惟なく唾液に掛かるも
一心に！ひたすらに！
小蠅は念誦を続けたのだ
が
一向に光は弱く
無情の 果 て だ！
【皆の望みは同じようだ…！】
誰彼
信ずべきものの 腸の裏
見つめ「我こそ」「我こそ！」
己の幸に傅く！
止め処なく 沸き出でる
欲に託ち寄り 稠林を舐ぶ
そう 集く命は欲を廻る！
―本編を終え、本編を超えた跋―
いくつも在る化仏を見つめていると、
いきなり雷ほどの閃きが彼の頭を劈いた！
化仏の奥に御座す、本当の神仏による閃光だった！
その明滅は、誰もが望み焦がれた神仏の御手であった！
彼が道心である証にして、なにより幸福な瞬間である！
小蠅の信仰者は驚きの表情で
生き死にの新たな理を得たようである！
月光、陽光の鋭利な切っ先さえも届かぬ
阿僧祇の彼方に見えし天上の本懐だ！
生きるは流転 死は流転
生きるはいずれ 死に至り
朽ちた命は なりを変え
新たに生まれ 死に至る
全てが滞ることなき久遠の廻りの内で
しかし其の流れから逸脱せんとする術である！
大層な歓びよう！
大層な高まりよう！
命は、その全てが救われる！
その全てが報われる！
その世迷い言めいた算段が漸く実を結んだのだ！
小蝿の信仰者は是を以て、
変易生死を垣間見た神聖なる僧正へと成ったのだ！
これが
泣かずにいられようか！
笑わずにいられようか！
羽ばたかずに、いられるものか！
肌色の大地にて、僧正は背の翅を震わせ
その御心に在る極上の震えを示している！
僧正は其の恐るべき教典とその実践法を、
遍くこの世の動物たちへと伝えて回るために、
手始めに肌色の大地の主へと、
その有り難きお言葉をお聞かせくださるおつもりだ！
「えー、おほん！
それはまさしく、まさしくもって、
仏さまから賜った世紀の大…」
―その瞬間、肌色の大地は怒り狂い―
ぱちん！
察するに、目障りだったのであろう
─物語は回帰するもので─
道心は我欲からでなく、純然であるべきだ
仏果を見紛い、解脱を見紛い、
信じるものの信ずべきもの
その在り方を見紛ったものの末路
神より小さい、天より小さい、
海より小さい、輿地より小さい、
木々より小さい、鬼より小さい、
馬より小さい、人より小さい、
犬より小さい、魚より小さい、
小蝿という虫の、思い過ごした虫けらの、末路
真砂の命の、ただ一粒、
救われなかった、
報われなかった、
ただ一粒の、話 おしまぃ。
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