顰めっ面
似合わないね
君の演技は
時に曖昧で
本音は花束
添えるような手
優しくないね
それはどうも
当たり前がさ
多岐に渡る
カーテンの裾が
空を切るよう
見た目以上に
哀しいは伝わらない
だからね私
演技したんだ
ある小説の一節だけで
泣きたくなるくらいには
さよならしたはずなのにな
昨日の夜には
ベランダからさ
文字面だけじゃあ分からない
きっかけが
一ページが
読めたはずなのにな
「例えばさ…」
そんな他人事
聴きたいわけじゃない
そうでしょう
別れ際に
つぶやいた一言
それこそがいつも
欲しかった言葉
メロドラマみたいな街灯が
揺れる 消える 滲む
さよならしたはずなのにな
今朝 行きがけに
集積所にて
小さな淀みには気付かない
靴先は
靴紐は
どうにも整わないままで
さよならしたはずなのに
感情の起伏は
これくらいでいいか
細かな演出は後付けで
楽しいも
苦しいも
一緒くたにしてドラマ
短いような
長かったような
終わりを迎えて
さよならするには
惜しいとさえ思うのは
気のせいだろうか
正しくないね
これはどうも
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