〜夜明け頃に鳴く烏のこと
男女の朝の別れを表現するのに用いられる〜
群れから逸れたみたいに
夜明けの一途を辿って
澄んだ藍色みたいな時間が
グラデーションになっていく
反対車線のホームから
快速列車が過ぎていく
一日の始まりを告げるような
明烏が鳴いている
すべては昨日のこと もう済んだことで
そこはかとないのは 季節の変わり目か
すべては私のこと そう言い聞かせては
物思いに耽る自分を 慰めてやりたい
優しさを履き違えたのは
夜明けが少し優しかったから
淡い群青色した君のネイルを
今になって思い返す
これは映画の中の話じゃなくて
誰かの恋模様でもなくって
通り雨が降るこの季節は
何かと忙しなく移ろいゆく
すべては昨日のこと もう済んだことで
そこはかとないのは お金の切れ目か
これは私の話 そう思い至っては
帰りの電車賃さえ 気にしている
紫陽花の花々が
青々と茂る中
帰り道の途中で
烏が鳴くのを聞く
2 Comments
2024/08/25
夜明けが少し優しかったから
はぁ
沁みる
mizuさんの言葉たちは
なんちゅうか 沁みるんですよ
2024/09/01
そのフレーズは特に好きですね。
朝のあの感じを出せた感じがしました。