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骨ばった指先が 酷く美しかったこと
憶えているのはそれだけ
遠く踏切の音が やけに煩かった午後
憶えているのはそれだけ
いつの間にか話すことがなくなって
隙間を埋めるように息をする
手持ち無沙汰みたいな恋が
テーブルの端に落ちる
ねぇ、大抵のことなら許せるよ
帰らないこと 鍵を掛けない癖も
あなたの一挙手一投足が
私を殺す 知らないでしょう
ねぇ、大抵のことなら忘れるよ
都合の良い嘘 散らかっていく部屋
あなたの好きなところさえも
煙に巻く 逃がしてあげたい
リビングに落ちた影
線上の首輪
優しい夕刻
憶えているのはそれだけ
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