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言い得ぬ恐れの影を落とされて蠢く
asakist 投稿 - 2022/10/08 更新 - 2022/10/08 0 Comments 117 Views
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幼い頃から見る夢
金属の繭の中で
微睡みの果てに頽れ
次第に肉が溶ける夢

足も腕も
眼球も心の臓も

紫黒蝶幻戯譚
蛹の柩に
眠れぬ魂だけが
ただ潜める
何もかも混ざり合う
止水の身体に
言い得ぬ恐れの影を
落とされて蠢く
永久に醒めぬ 蝶の夢


折れない両指数える
現も嘘ともつかぬ
私であるのが私か
それとも何か別の罪

髪も爪も
この皮膚の中の骨も

紫黒蝶幻戯譚
翼翅の帳に
変われる脊椎たちが
涙あやす
形取る漆黒の
斑の蝶々
柩を裂け出るうちに
這う腕は千切れて
翅も溶けて また眠る


同じ世界
常闇も光さえも

紫黒蝶幻戯譚
死んでは生まれる
終わらぬ再生さえも
幻戯の中
何もかも混ざり合う
止水の骸に
残れる意識の影を
手放して漸く
永久を眠る 夢の夢
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