僕もこんなふうに、愛せていたかな
大層な恋愛映画
観終わってふと思う
僕もこんなふうに
愛せていたのかな
不定期な言伝
見たふりな身勝手
会えば、それはそれで
愛していたような気になって
ねぇ、「好き」ってどんなだった
初めての、あの感じには戻れない
後ろから抱き締めて
見つめ合ったらキスをして
まるで映画のワンシーン
僕らもきっとそうだった
なんとなくわかってた
あれが、好きってやつだった
今更、証明しようにも
解けない魔法だ
寂れた商業施設
まばらな客席とスクリーン
あの頃の再上映
きみがいない、それ以外は
ねぇ、きみはどう思ってた
お互い黙ったまま、前ばかり見据えて
エンドロールの最中は
何話そうかばかり考えて
結局、何も思い浮かばない
お互い、きっとそうだった
なんとなくわかってた
この恋は、もう終わってた
今更、証明したって
誰が得する問題
立ち去っていく観客
残された、一人の劇場
これすらも何かの演出で
次の瞬間、きみが現れて
「何してるの、早く行こ」って
そう笑うんだ
ありもしない空想
よくある後日談みたいに
大層な恋愛映画
観終わって思う
きっと、僕もそう
愛していたよ
2 Comments
2022/03/28
2022/03/29
ありがとうございます。
確かにそうですね。映画とか音楽は深く刻まれますよね。
寂れた様子が切ない感じを残せてたら幸いです。