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実話をもとにしてフィクションです
kayuma 投稿 - 2021/05/04 更新 - 2021/05/19 0 Comments 420 Views
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私は人妻 主人は地位も名誉もある役職につき
若い愛人までつくっているらしい
私は この家に嫁いできたときから
家政婦同然だった

主人と顔を合わすのは 朝食の支度の二十五分だけ
得意の料理を四品用意しても
仕事をことを問いただしたら怒りだすし
いつも仏頂面で会話らしい会話もない

私には自由が与えられていなかった
働きにいくことは禁止
友人とは会ってはいけない 電話だけ
買い物は近場で済ませ 電車に乗ってはならない
近所の人とは 挨拶以上の会話は禁止

主人は私でなくても 気の利いた家政婦もどきなら
誰でもよかったのに違いない
適当に美人で 適当に世間体が良くて 適当に家事ができて
適当に真面目でおとなしく 男にかしづかえる古風な女
夫婦というよりも 夫に仕える家政婦か母親的存在

主人は 男の甲斐性などという
前時代的な古臭い言葉を持ち出し
自分を正当化している
しかし その裏には自分の地位をおびやかす敵が
隙あらば襲い掛かろうと いつも牙を向いていることを熟知していた

ある日 目撃してしまった
主人が見覚えのある若いロングヘアの女と歩いているのを
あの女は 私の元彼に色目を使い 誘惑した女
それが原因で 元彼とは別れた

まだ独身のままでいる元彼に 電話してみようか
もちろん 証拠を残さない公衆電話から

すると居間の電話のベルが鳴った
相手はなんと さきほどの女
「奥さんですか? あなたは今も昔も 
男を盗られる運命にある おとなしいだけが取り柄の
刺激を感じさせない 貧弱な女
しかし なぜか男からはリスペクトされる
頼りがいのある存在
私はいつも 男に利用され遊ばれるだけの
その場限りの間に合わせの 所詮捨て駒でしかない
あなたには完全敗北よ
ご主人からは 私の方から身を引くわ
これ以上 みじめな遊び女のスティグマ(烙印)が
増えていくのは もうコリゴリよ」

女としての私の生き方 正解だったのね
私はディオールのピンクの口紅をぬり直した
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