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失ってすら気付けない大切なもの
kabocha0230 投稿 - 2021/04/14 更新 - 2021/04/14 1 Comments 154 Views
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窓枠のスクリーン
観客は花瓶と君と僕で
夜闇にぱちぱちと弾ける灯りが
一つずつ消えてゆく

無機質と 営みと
無関心と その癖ひどい感傷とで
水浸しの目蓋の裏
いつまでも寂しい残像

そんなことを君が言っていたと
不意に思い出した時
枯れた花瓶に気付いた

失くしたもの 手のひらの外で所詮
忘れるだけのもの
色 温度 心の反応

花屋に行けば 咲き乱れた姿
こんな部屋でごめんね
萎びた茎から滴る青臭さ

面影もない筈の香りに
言葉だけが乗っている

またいつか海へ行こう
麦わら帽子に花飾りを差して
柔らかな飛沫を上げる
波打ち際を歩こうね

脳裏の景観 映写機の中
顔のない君は笑っているようだった
二人がけのソファ どこにだって幻

部屋に吹き込む風から
生きた香りはしなくて
心地よいがらんどうに
約束はもうない
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1 Comments

kayumakayuma
2021/04/14
少し目を離した隙に、すべて散ってしまった花びらを連想させます。花びらの行方は風にのってどこへ行くのでしょうね。
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