あれは春みたいな冬の日
まだ蕾の桜並木を歩いて帰った
ふたりだけの冬の物語
寒い寒いと呟く明け方
タバコを吸うその背中
円満なんて言葉とは
真逆の道を歩んでいた
あれは確か冬の日で
嘘みたいに暖かい春の日だった
腕まくりをして歩く君と
まだ寒いのにって笑ったわたし
思えばあれが幸せで
今よりずっと未来の方を向いていた
いつか笑い話にできるかな
涙を飲んで君を呼んだ
真夜中に1人にさせたこと
やめたって嘘ついたタバコ
永遠を誓ったのは俺の方なのに
たった一言が言えなくて
あれは確か冬の日で
嘘みたいに暖かい春の日だった
いつも左側を歩く君の横顔が
世界で一番好きだった
あれは確か春の日で
まだ寒さの残った明け方だった
タバコを手に取った俺に
何も言わずに瞼を閉じる君
少しだけの幸せと少しだけのワガママが
2人の未来を少しづつ変えた
最後にありがとうと笑う君と
最後にごめんねを伝えた俺
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2021/03/01