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何も要らない。なんて言いながら、何一つ捨てられない。
kabocha0230 投稿 - 2020/12/15 更新 - 2020/12/15 0 Comments 136 Views
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木目調の床に
足の踏み場もないくらい
遠くから来た残骸

積み上がる段ボールと
埃を照らす南窓
出歯亀の白 光って 笑ってら

残像が息衝く昼下がりを
ぐるぐると回る外気が
淡々と冷やしていく

生後間もない部屋の隅で
羊水にふやけた壁の凹凸を
膝を抱えて見詰める僕の
耳を刺す時計の喚き
単四電池に詰まった癇性に
一秒毎連なる消したい過去
大人にしかなれないまま
逃げ出した僕を笑ってら 笑ってら

食い荒らされた腹の底に
芋虫に似た黒いもの
排泄された悪寒で満ちて

卵生のそれを
産み付けられたのは何時だったか
思い出と呼ぶには獣臭く
頭蓋の裏を掻き毟る

もう要らない
誰も要らない
吐き捨てながら塞いだ
ガムテープだらけの開口部
袋詰めの電線を他所目に
ポケットの膨らみを指さして
うずくまる僕を笑ってら 笑ってら
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