新規登録 ログイン
誘拐でもしてやろうって思ったんだ
miyako_kosamee 投稿 - 2020/11/14 更新 - 2020/11/14 0 Comments 217 Views
good投票
まだこの作品をgoodと言った人はいません
つのった借金 神様にも見捨てられ
誘拐でもしてやろうって 思ったんだ
薄暗い公園 裸足の女の子
これは運命だって 思ったんだ
抑え込んで捉えた 縄とガムテープ
詰め込んだ車 フルスモーク
やけにおとなしくて
行儀よく座っていたんだ
身代金要求 電話番号
聞き出すためにガムテープを剥がすと
あざのある口元
なぜか嬉しそうだった

「ずっと誘拐されたかった」
それがあの子の第一声
縄で縛られている手首には
いくつもの切り傷と青あざ
「ここじゃないところへ攫って」
言葉の影は色濃く浮かぶ
神もいないこんな世界に
正しさなんてあるのだろうか

木造アパート2階 角から二つ目
四畳半の ワンルーム
縛っておく必要も もうなかった
黙って後ろを ついてくるんだ
痩せこけた身体 お腹を鳴らしている
50円引きの 惣菜を出す
犬のように 口だけで食べ始め
「手を使って良いのは 学校でだけって」
シャワーは何日ぶりなのか
背中はミミズバレ
朝日が影を作り始めて
気づけばまた日没が光を奪った

「誘拐されて幸せがあった」
意外とよくしゃべる子だった
会話のたびにあの子は笑った
あの時間の中で何が分かった
「あの場所には戻りたくない」
あれる場所とあるべき場所
たまたま目を開けたこんな世界に
正しさなんてないのだろうか

アパート前赤いランプが並ぶ
現実社会が迫り来る
大人しくついていくしかない
離される背中にあの子は

「この居場所から離れたくない」
警官の手を振り払った
こんな小さい部屋は
あの子を塞いでいるだけなのに
僕の悪は君にとっての善だ
正しくないことだけが確か
少女が生きるこの世界で
正しいことを誰か教えて
タグ :
[ 編集 ]

0 Comments

Add a comment - 1000文字以内でご入力下さい。HTMLタグは使えません。
コメントを投稿するにはログインして下さい。初めての方は無料のユーザー登録を行って下さい。
ログイン 新規登録