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ある日出会った子供が母親から虐待を受けている事を知った主人公は、その子を救おうと誘拐してしまう。しかしすぐに逮捕されてしまい、バッシングを受ける。母親は虐待を否定し、子供の体にある傷は主人公が付けたものだと証言し、子供は暴力ママのもとへと連れ戻され、主人公はさらなるバッシングを浴びながらこの世の不条理を想う。正義とそうじゃないものとの境目が曖昧になっている現実を感じてこんな物語を書きました。
TAKEO 投稿 - 2011/01/29 更新 - 2011/11/06 0 Comments 478 Views
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ダリの模造画が掛けられている
壁の前に立ち君は呟く
「この人が描く世界は、現実よりもずっとリアルよね」

果てしなく続きそうな景色と
グニャグニャの人やドロドロの時計
シュールレアリズムの意味を 君が知っている筈はないだろう

生まれて10年しか経たないのにどこでそんな事考えるんだ?
模造画に触れようと背伸びしたその時に見えた痣だらけの肌

ああそうか君は 僕よりもずっと
長い間こんな世界を見てる
他人(ひと)が捻じ曲げて 不正解にした
リアルの中を君はずっと必死で生きているのか


それが正しい事だと信じて
君の手を取り外へと連れ出す
「勝手に出たら危ないよ、あなたもママから怒られちゃうよ」

戻る必要なんて無いんだ
愛してくれる人を探そうよ
今日から僕が背負うのは 児童誘拐という名の罪だ

世界を支配しているのは物欲にまみれて黒ずんだ正義か
とにかくその中で我慢してれば安泰なんて馬鹿げた世界か

そんな事そこで 思っているのに
周りに合わせて嘲笑うばかり
行きつく所が どうせ同じなら
お前も出来るだけの事をしてから死んだらどうだ?


カッコつける事を捨ててどれだけ声高に叫んでみたところで
結局僕は巨大な力に 丸めこまれて君は帰ってく
その小さな背中を思い出しうなだれて流した僕の涙は
他人から見れば犯罪の 後悔ぐらいにしか映らない

ああそうか君は 僕よりもずっと
長い間こんな世界を見てる
いくらもがいても 抜け出せない事
知っている君は諦めてこんなリアルの中を生きるのだろうか

何しても無駄か
もがく奴が馬鹿か?
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