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家族はただ見てただけ
asakist 投稿 - 2019/04/21 更新 - 2019/04/21 0 Comments 167 Views
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巨大な国がある
砂漠の真ん中で
豊かな繁栄を
遂げた王国が

白妙石灰の
家屋が立ち並び
そこでは誰しもが
死んだ目で生きる

夜毎王宮の門が開かれて
町をさざめかす人攫いの黒い影

今宵の王の夜食に
お前は選ばれた
王家の血になれるなら
こんなに嬉しいことはないだろう
嫌がり叫ぶ娘を
無理やり運ぶ影
家族はただ見てるだけ
死んだ目で見るだけ


無人の居間の中
娘は放たれた
机に立ち並ぶ
銀の食器たち

ランプを反射する
ナイフが目に映る
震える手で掴む
冷えた夜の部屋

すると戸を開き一人やってくる
華美な装飾で富に肥える巨漢王

今宵の我の夜食に
お前が選ばれた
王家の血になれるのだ
こんなに嬉しいことはないだろう
巨王を前に娘は
怯えて竦むだけ
後ろに隠すナイフが
小さく震えてた



近づく王へ娘は
ナイフを向け走る
脂肪の奥の鼓動に
突き刺し溢れる王家の血と声
巨漢の王は倒れた
すかさず逃げようと
扉を開けた先には
娘を連れ去る王家の死の影

こいつは王を殺した
今より処刑する
王家の血を拒むのだ
異論を唱える者はないだろう
嫌がり叫ぶ娘へ
刃を向ける影
家族はただ見てただけ
死んだ子を見ただけ

家族はただ見てただけ
異端者を見ただけ
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