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全てを手放し 歩き出した春の行方
青い雨に打たれ 逸れたいつかの温み
頬を伝う終わりだけが 哀しみを育てていく
出逢わなければ 失うこともなかっただろう
運命を酷く憎んでも
それすら切り離せない一部になっていた
果てのない苦しみに息絶える刹那
愛しき声が目の前を優しく包む
もう傍にいないはずの影が 次の季節に手を振る夢を見た
咄嗟に飛び出して 忘れ得ぬ匂いを辿れば
色褪せない思い出が今も息衝いていた
微かに温かな何かが蘇る 雲の切れ間から陽が射した
散り際に託された淡い願いが 確かな意思を纏い掌へ届く
二度と戻れない 返せない
それでも 離れても離れないものを紡いで
儚げに散る春のあとには 掌に宿る春の息吹きがあった
だからこそ どうか この命で見送らせて
残された春の行方まで
さようなら 心はずっとあの日とともに
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