君の匂いがしたんだ
朝露に溶けてそっと落ちた
いま僕を支配するのは
無機質な雨の匂いだけ
手のひらに落ちた雫
何も聞こえやしないのに
壊れたテレビみたいな
ザーッて音が聞こえる
どこかへ行ってしまいそうな心の足跡さえも残らない雨の日に
いっそこのまま消えてしまえたらいいのになんて思ったんだ
街はいつもより静かで
世界に一人だけみたいな気がした
思い出すあの日も
まるで無声映画のようで
君の声は聞こえない
降り止まない雨の音で
君がなんて言ったかなんて
僕がなんて言ったかなんて
知らない
無意識の抵抗
『さよなら』の分だけ手放したものを『またね』はひとつも返してくれない
それを知ってて君とさよならした筈なのに 僕はまた
僕はまた…
君の匂いがした
明け方の陽の光に混じって
君の匂いがしたんだ
そういうことにして
また今日も
2 Comments
2017/06/18
とても良い雰囲気の作品だと思いました。GOODいたします。
2017/06/18
コメントとgoodありがとうございます。
雨の雰囲気好きですね。
センチメンタルも好きなのでそうなったのかもしれないです笑