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ひとつ ひとつ 僕が 声に出すたびに
何かが落ちていく そんな気がして
引き出しの中にある ノートの切れ端に
そっと書き記しておこうと思った
ひとつ ひとつ 君が 語りかけるたびに
何かが溶けていく そんな気がして
幾千と並んだ 物語の隅っこに
ずっと閉じ込めておきたいと思った
色の無い世界で 生きていくのは
とても退屈で とても怖くて
終わりのない暗闇が 僕を包み込む
なんにも見えない 見えない
深い 深い 海の
底に 差した 一筋の光のような
そんな言葉を 期待しているだけ
絞り出すように 僕は叫ぶよ
これ以上 大事なものを奪わないでおくれ と
なのに宙を漂うシャボン玉は
次々に儚さへと消えていく
それでも僕は 耳を澄ますよ
君の心の声を 聞き逃さないように
なのに感情を映し出した水晶は
次々と音を立てて壊れていく
なんにも聞こえない 聞こえない
広い 広い 宇宙の
果てに輝く あの一等星のような
そんな言葉を 期待しているだけ
なんにも見えない 見えない
深い 深い 海の
底に 差した 一筋の光のような
そんな言葉を 期待しているだけ
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2017/06/08