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2作目です 子犬とおじいさんのコト  コメント頂けたらうれしいです
mikami252 投稿 - 2010/10/02 更新 - 2011/11/20 2 Comments 336 Views
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傷を負った小さな犬を
我が子のように抱き上げて
そっとささやくおじいさん
「つらかったね」

あたたかい胸の中で
雨に濡れた犬の瞳は
雨のせいか、ぐっしょり濡れていた
「こわくないよ」

あなたのその一言が
ボクの心をやさしくほぐしていく
あなたのそのぬくもりが
ボクの濡れた内と外とを包んでいく


暖炉のそばで寝転ぶ犬の
胸に刻まれた小さな傷
その傷に手をあて
「だいじょうぶだよ」

白く長いあごひげを
厚く硬いてのひらで
ゆっくりなでながら
「きみならできるよ」

あなたのその一言が
ボクの心をゆっくり開いていく
あなたのその大きさが
ボクの濡れた痛みを消し去っていく

ある日あなたはこう言った
静かにゆっくり打ち明けた
「実はね」「私もね」
「傷をね」「胸にね」「負ってるんだよ」
「血は出ないけどね」「治らないらしいんだ」
「すごく痛いんだ」
「でもね」「君といるとね」
「痛くないんだ」「痛くないんだ」
「むしろ」「あたたかいんだ」
「君となら行ける気がする」

 「どこまででも」

あなたの目は今までで一番あたたかかったよ
あなたの手は今までで一番あたたかかったよ
あなたの涙は今までで一番あたたかかったよ



あなたは昨日うそをついたね
どこまでも行けるとうそをついたね
冷たくなったあなたは目を開けずに
暖炉の灯に顔を光らせ笑っていた

今度はボクの番だね
ボクがあなたをあたためてあげるよ
あなたが目を覚ますその時まで
ボクがずっととなりにいてあげるから
もう、吠えないから
もう、噛まないから
だからもう一度あなたに包んでもらいたい
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2 Comments

kamepenginkamepengin
2010/10/03
犬が悲しい。いい詩だと思います。物語みたいな詩は好きです。難しいけど
犬のその後が気になります。
mikami252mikami252
2010/10/03
kamepenginさん コメントありがとうございます
物語風に書くのは難しかったです;

犬のその後は、また別に書くつもりです
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