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うたたかな夢の中。
隣の人形さんが喋ってた。
午後2時の1軒の家。
隣のおじいさんがくれた。
王子様みたいな小さな人形を。
「道が狭くて、狭くて、何も見えないんだ」
大きな新宿通りでおじいさんは呟いた。
どっちでもない感情を夢見て歩いた。
せっせと運ぶその愛の片隅に置かれた愛。
お父さん、お母さん。ねぇ、聞いてよ。
素直に喜べない。大丈夫。慣れてる。
うたたかな夢の中。
隣の人形さんが喋っていた。
深夜2時の1軒の家。
おしゃべりな人形さんが喋っていた。
「ねぇ、聞こえるかい?」
うたたかな夢の中。
近くの人形さんが喋っていた。
深夜3時の1軒の家。
おしゃべりな人形さんは、また喋った。
「悪い夢なんて君の中にはないだろう」
「世界が狭くて、狭くて、何もできないんだ」
小さな夢の中で人形さんはつぶやいてた。
親譲りの汚い感情を嘆いて歩いていた。
せっせと急かすその夢の片隅に置かれた罪。
おじいちゃん、おばあちゃん。ねぇ、聞いてよ。
夢がうまく伝えられない。だから、慣れてるって。
「聞いて欲しければ聞いてあげる」
「流れる涙は僕が受け止めるから」
「僕で足りないのなら、自分自身に」
おしゃべりすぎるんだ。ずるすぎるんだ。
うたたかな夢の中
綺麗な人形さんが喋っていた。
時間もはっきりしない家。
おしゃべりな人形さんは微笑んだんだ
うたたかな朝の光
机の上の人形さん。
午前11時の1軒の家。
静かな人形さんは…。
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